久々に山形

あれからもう12年になる。


山形にいい思い出はあまりできなかった、と当時は思った。
しかし、その後の人生を考えるとまだあのころはよかった。


まだ、自分はこの世の中を生きている、という実感があった。
そして、なんでもやってやろう、やりかえしてやろう、っていうエナジーが自分の中にあった。


今朝起きたら、非常にいい天気だった。
日本中今日は晴れらしい。


当初はいつものようにスポーツクラブに行くつもりでいたが、あまりの天気のよさにドライブしたくなった。
そして行き場所を考えたときに


そうだ、山形に行こう


と思った。秋の山形市内はたぶん10年ぶりぐらい。
一人歩きするのも同じくらいだと思う。
卒業してまもなくはいろいろ歩いていたし、温泉めぐりもしていたので毎年のように山形市内には来ていた。
しかし
年月を経るにつれ、だんだん距離が遠くなり
また
一人で来る機会も減ってきて、ここ数年は来ていなかったように思う。


秋の山形、休みともなれば「芋煮会」である。
馬見ヶ崎川脇を通るといたるところに、芋煮会をやっている。


そんな景色を見ながら、「ああ、山形、かわらないな」とおもわず独り言をつぶやいた。


地図なんて見なかったが、道路がそう大きく変わりようもないと思っていたし、実際記憶のままだった。
しかし
若干の違いがあった。
ここに道路はなかったような気がする……


ともかく、かつて住んでいたアパート近くに駐車して散歩することにした。
歩き始めて数分、かつてとは違う違和感を覚えた。


毎年来ていたころは、すぐ隣に「住んでいる自分」がいそうな気がしていた。
今回はそんなことはなかった。


10年たっても変わらない山形


しかし、10年たてば変わるのだった。


一番ショックだったのは
XOというパチンコ屋が、フォーラムという映画館に変わっていたこと


オレはXOという店でパチンコをやっていた。
その店の出玉で一喜一憂して、ダービー物語で10万近く勝たせてもらって、あの年の春に九州へ旅行したのだ。


そのXO


以前来たときに台が古くて、かつての勢いはないな、と思っていた。


しかし、まさか


あのXOがなくなるとは思わなかった。
10:00のオープン時にスクエアのTRUTHがかかると同時にお目当ての台に奪取してそして打つ。
11:00の閉店まで粘って、その日の成果を報告しあう


あの日々を同じ場所ですることができない


ああ、寂しい限りだ。


それ以外にも変化があった。


なんというか


山形にくれば、前と同じ山形が迎えてくれる


そんなつもりでいたけど、山形すら変化している現状
そして、オレは変化しない実情


寂しくて寂しくて、せつなくて


涙が出ればいいのだが、その涙も枯れているようだ。


そこまでココロが動かなかった。
動いていいはずなのだが、実際には動いているはずなのだが。


涙は枯れてしまったのだろうか。


ああ、変わり行く山形、変わらないのはオレだけなのか。